もう何も信じられない、と記事に書いたのがちょうど2019年の5月19日。
それからちょうど2年経った今、ようやく長い戦いが終わりました。
そう、キャリブレーションの話です。
キャリブレーションとはなにかをきちんと書く自信はないので、
「モニターキャリブレーション」とか、
「モニターのキャリブレーションの仕方」とかで検索していただくと正しい知識が手に入ると思います。
簡単に言うと、モニターに写っている色本当にあってる??あってないよね???問題です。
これが狂っているとどんなに気合をいれて現像しても、他の人からは違う色で見えていて、自分の世界だけのことになってしまう。
簡易的に自分の目で見ながら調整する方法もありますが(前回の記事でしていたのはそれです)、己の目は信用できないので、なかなか難しい。
計測器で計測して、そのモニターの「プロファイル」を作成し、こういう環境でみているよーというのをPCに伝えることで、「正しい」色でみることができるのです。
いよいよモニターと計測器を買ったのが11月。
i1display proという有名な計測器とちょっといいモニターを買いました。
https://twitter.com/doll_hatopoppo/status/1332611176451043329
モニターはカラーマネジメント対応のものです。ハードウェアキャリブレーションができる。
※対応していない通常のモニターは、パソコンからの出力を調整することでモニターに表示される色を調整(=ソフトウェアキャリブレーション)するのに対し、
カラーマネジメント対応のモニターは、モニター内部の設定を調整することで直接モニターの色表示を調整(=ハードウェアキャリブレーション)できるのでより正確な調整が可能です。
計測器(キャリブレータ)はこれです。カラーマネジメントモニター向けのi1 display pro。(ソフトウェアキャリブレーション用ならその下のi1 display studioでもよいみたいですが、今回はカラーマネジメント対応モニターで行うハードウェアキャリブレーションなのでこちらが必要です。)
ちょっとあまりにも高いので、何度も躊躇したし覚悟を決めるのに1年半もかかりました。でも買ってよかった。
見様見真似でキャリブレーションしました。
モニター名+キャリブレーションで出てきた記事が計測の仕方から設定の仕方までとても詳しかったので、
ひとつひとつの手順を参考にしながらおっかなびっくりキャリブレーションしたのもこの時です。
https://twitter.com/doll_hatopoppo/status/1332701479812009987
計測器を使い、「プロファイル」を作成し、できたはずだったんです、この時は。
でも、カラーマネジメントの知識が適当にしかない状態でやったものだから、結果に自信がなくて、なんか違くない?みたいになって。
折角作ったプロファイルを使うことなく、結局いつの間にかデフォルトのプロファイルを使うようになり、なぁなぁに戻ってしまいました。
だましだまし使っていた状況に耐えられなくなったのはつい先日。
最近現像した写真をTwitterに載せた瞬間、色がめっちゃくすむな!?と。
自分の写真が思うように現像できなくて自信を喪失していて。
実は現像が原因だったのではなくて、環境が良くなかった。
フォトショでの色とWebに載せた際の色の乖離について質問した際に、やはりモニターのずれが問題ということだったので、
改めてキャリブレーションを行い適切なモニタプロファイルを設定したところ無事に解決しました。
実に2年!ようやく!!!
もっと、はやく、やれば、よかった。
どんなに現像こだわっても、思い通りに作った色が掲載できない。これで本当にできてるのか?他者の環境ではどう表示されてるのか?と不安な日々。
「正しい」基準値がわかるって、こんなに安心するものなんだ。環境を信じられるってすごい。ストレスからようやく解放されました。
今までずっと何かが違う…と思いながら現像したり、モニターや環境によって色が変わるのが当たり前だと思って写真を扱ってきたけれど、
きちんと「正しい」色に寄せていくことはできるし、自分の出したかった色をきちんと発信できるようになって嬉しいです。
いや…本当に正しいのかまだちょっと不安なんだけど…少なくとも携帯やi padとの差もほとんどなくなったので…Webでも思い通りの色出せてるし…(急に弱気)
うすーーーいもやがかかっていたのがすっきりしたようでとにかく気持ちいいです。
以下自分用備忘録と、アドバイスいただいた内容を残しておきたかったので、同じくつまずいてしまっていたり興味ある方だけどうぞ。
Adobe RGBというカラー設定とsRGBというカラー設定があります。
色域が違うのですが、Adobe~のほうが鮮やかな色域なので、私はphotoshopのカラー設定をAdobe RGBにして、保存時にもAdobe RGBのプロファイルを指定して保存して「Adobe RGB」のプロファイルが埋め込まれた画像を作っていました。
AdobeRGBの画像を、適切なモニタプロファイルを使って補正せずに表示すると、くすんだ想定と違う色に表示されることがあります。
またAdobeRGBの画像を、適切にsRGBにプロファイル変換しないままsRGB色空間で開くと、くすんだ色で表示されます。
適切にAdobe RGBに対応している環境下なら問題ないのですが、一般的な環境はsRGB規格が多く、意図した色と違う表示になる可能性があるので、これからはsRGBで製作したほうがいいな、と気づいたのが今回。今ではカラー設定をsRGBにして、埋め込みプロファイルもsRGBにして作成しています。
問題だった、「適切なモニタプロファイル」のことにも少し。
フォトショ制作時と、Web掲載時に色の乖離が生じる、とのツイートにいくつか答えていただきました。
私が乖離する、といっていた画像も、適切なカラーマネジメントをされている環境で確認すると、乖離していないとのこと。
PC側で選んだモニタプロファイルと実際のモニターにずれがあったので差が生じてしまっている状況だったので、計測器で適切なモニタプロファイルを作成し設定したところ、色の乖離はなくなりました。
以下アドバイスいただいたツイートです。
https://twitter.com/yamo74/status/1391945632852496386
https://twitter.com/yamo74/status/1391947899181752321
また別の方からのアドバイスです。
遅くなりました。
通常、同じPC上で比較する・画像にプロファイルが埋め込まれている、という条件ではPhotoshopでもWebブラウザでも同様のカラー変換が行われるため、正しい色かどうかはともかくとして両者で違いが生じるとは考えにくいです。(続く— やまかわ aka やんま ま (@yamma_ma) May 11, 2021
※モニター名間違えました。SW2700です。
ただ、現行のBlink系ブラウザ(Chrome、新Edgeなど)は、
画像の色空間→sRGB→モニタの色空間
という変換をしてしまう不具合?がありますので、モニタのプロファイルがsRGB以外に設定されている状態でsRGBでない画像を表示する場合には違いが生じます。— やまかわ aka やんま ま (@yamma_ma) May 11, 2021
今回のTwitter掲載時の色の変化はまさにこの状況ですね。
とてもわかりやすい解説とアドバイスを頂き、お二方には本当に感謝しています。
本当にありがとうございました!
同じことに悩むどなたかの役に立てばなによりです。